突然巣に帰らなくなった働き蜂
2006年秋、アメリカでミツバチが短期間に大量にいなくなると言う事件が報告されました。大量のハチがいなくなった巣箱の中や付近に蜂の死体は無く、巣箱全体の30~90%もの大量の蜂が突然いなくなっているのに、女王蜂や幼虫は巣に残っているというのです。餌として蜜や花粉を巣に持ち帰るべき働きバチがいなくなるので、残っていた個体もやがて死滅してしまう運命だそうです。
2006年秋から始まったこの現象は、やがて全米22の州に広がり、翌年春にかけて全米の養蜂家のほぼ4分の1が被害を受けたとされています。やがて、この現象は、スペインやポーランドなどの欧州各国、カナダ、インド、ブラジル、台湾などでも確認されてきて蜂群崩壊症候群(Colony Collapse Disorder)と呼ばれるようになりました。
2013年7月には、神奈川県三浦半島の養蜂場の1カ所で計13群のうち4群がいなくなったという報告があり、その後も横須賀市と葉山町でもミツバチの群がいなくなったという報告があります。
この現象の原因は、まだ特定されていませんが、複合的な要因で弱体化した蜂群にイスラエル急性麻痺ウイルスというウイルスが感染して起こるという説が最も有力視されているようです。しかしそれ以外にもダニの寄生によるミツバチの免疫力の低下、集中的な交配による幼虫の過酷ストレスと栄養不足、越冬用に与えられる人口蜜の遺伝子組み換えトウモロコシの影響、農薬の影響なども要因としてあげられています。
地球環境の変化は、地球上の生物の生き方そのものに影響を与えているのですが、帰巣本能を持つ生物の代表でありと女王バチに花粉と蜜を運び続けて一生を送ると言われてきた「働き蜂」もストレスの過剰によって、突然家に帰らなくなってしまうということがあるのですね。
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