「寒さ体験」で咲く緋寒桜
この冬は、強い寒気の影響で、たびたび大雪警報が出されています。北海道、本州各地で冬真っ只中の1月から2月にかけて、沖縄諸島では、そろそろ桜の花が咲き始めます。
沖縄の桜は、緋寒桜(ヒカンザクラ)または寒緋桜(カンヒザクラ)と呼ばれる品種で、色は濃いピンク色で花がうつむきがちに咲くのが特徴です。
日本には、「花は、里より咲き初め、紅葉は、山より染め初める」と言う言葉があります。つまり、春のサクラは、暖かい里の方から咲き始め、次第に山肌を咲き上っていき、秋の紅葉は、寒さが早く来る山頂から色づき始めるということを表わしています。
しかし、日本一早く花見ができると言われている沖縄本部半島の八重岳では、一月中旬頃、ヒカンザクラが、登り口では、まだ五分咲きなのに中腹一帯では満開、さらに頂上付近まで登ると花はすでに散って葉桜になっていることがよく見られるそうです。
つまり、沖縄のサクラ(ヒカンザクラ)の開花は、山の上から始まり、次第に里に下っていくのです。
同じように、「ヒカンザクラの原産地」ヒマラヤでも、10月中旬に3000メートルで満開の「ヒカンザクラ」が見られますが、その時2500メートル付近では五分咲き、標高2000メートルぐらいの村では、まだ蕾(つぼみ)というように「花は、山より咲き初め」になっているそうです。
サクラは、平均気温が10℃以上になると花が咲き始めると言われていますが、実はそれだけでは不十分で、その暖かさの前にある程度の寒さを経験しないと花は咲かないのです。そのため沖縄のヒカンザクラは、冬の寒波が南下するに従って「寒さ体験」をするために「寒さ体験」が早い北の島から開花が始まり、次第に与那国島へとサクラ前線が向かっていくわけです。
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