連理の杉、相生の杉
いつだったか鞍馬寺から貴船神社まで山道を歩いたことがありました。その時、貴船神社の結社の近くで「相生の杉」を見ました。この杉は、一つの根から二本の杉が生長したもので樹齢が千年の御神木だそうです。「相生」が「相老」に通じることから夫婦が共に長生きをすることの象徴だということでした。
また、奥社境内には、杉の木と楓の木が、まるで一本の木のように成長した「連理の杉」があります。杉と楓の和合形でありながら杉を主役にして「連理の杉」と呼んでいるようです。
調べてみると「連理の枝」とは、別々に生えた二本の木が結合して一本の枝のようになっていることを表した言葉で、別々に生まれたの男女がなぜか繋がりを持って、仲むつまじく一緒に生きることを喩える言葉となっているようです。
出典は、白楽天の漢詩「長恨歌」の一節『在天願作比翼鳥 在地願爲連理枝(天にありては、願わくば比翼の鳥となり、地にありては、願わくば連理の枝とならん。)』だそうで、この漢詩から、夫婦の仲むつまじさを表す「比翼連理」という言葉も出来たそうです。
昔の日本人は漢詩を吟じ、和歌をたしなむことが教養とされていたようで、貴船神社の杉を見て白楽天の「長恨歌」を思いだし、「連理の杉」と名付けたのでしょうか。本来、中国の言葉であるはずの漢文を日本語として読み下すという方法は、いったい誰が考案したことなのでしょうか。
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