鳥たちの棲み分け

 ここ生坂村に引っ越してきて時折見かけるのが、カラスに追いかけられているトビの姿です。しかし、多くの鳥たちの間には、お互いの生活空間を侵略しないという取り決めがあるようです。

 森林には、色々な野鳥たちが棲んでいます。トビとカラス以外の鳥が、争っている様子は見たことがありません。どうやら多くの鳥たちは、食べ物のことで争ったり、他人の巣を壊したりしてはいないようです。もちろん使わなくなった巣を別の種類の鳥がちゃっかり再利用したり、ホトトギスのように他の鳥の巣に自分の卵を産んで育ててもらうような生き方をしている鳥もいるのはいるのですが・・・。

 ホオジロの仲間たちは、餌、巣作り、啼く場所もほとんど同じなので、少しずつ棲む標高を変えることによって同じ地域に棲めるようにしているようです。

 ウグイスの仲間も林の上の部分、枝の繁っている部分、谷斜面、林の下の部分、林の縁の部分と棲み分けていることが知られています。

 林に棲む鳥たちは、餌不足から身を守るために、それぞれの種類の鳥たちが餌をとる場所、餌の種類を少しずつ違えて生きています。同じ様に、巣を作る場所もソングポスト(歌い場)等もそれぞれの種によって区分けをしているようです。

   このような棲み分けの結果、林の上の方でソングする鳥は、人目に付きやすく、林縁の中央に棲むウグイスのような鳥は、声は聞こえても、その姿は人目には付きにくいということが起こるわけです。

 遠くからでも見ることが出来る高い木の枝先で鳴く鳥は、いつも目立つ所にいますが、藪の中で、いつも目立たない鳥は、いつも目立たないように生きています。鳥たちはそれをお互いが生きていくための戦略として受け継いできたようです。

 棲み分けは、鳥たちが生み出した生活の知恵なのかもしれません。

オールド・キャンパーの独り言

早期退職してJICAの海外シニアボランテイアとしてアルゼンチン共和国 ラプラタ市の環境公園で1年すごした後、カンボジア教育青年・スポーツ省青少年総局で2年間を過ごしました。  海外生活の間に思い立って書き始めた「自然からのメッセージ」でしたが、帰国後、長野県の生坂村に引っ越して、自然の中で暮らし始めて、折に触れ読み返しているうちに「オールド・キャンパーの独り言」として書き直そうと思いたちました

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