冬に咲く花

 植物たちは、生まれた場所から動くことができません。そのために綺麗な色の花を咲かせたり、よい香りを出したり、甘い蜜を出したりして昆虫を誘ったり、風に飛ばされやすいような花粉を作ったりして、子孫を残す工夫をしています。

 では、一面が雪化粧した頃に花を咲かせるサザンカは、チョウやハチもいない寒い季節に花を咲かせるのでしょう。寒い朝、畑の方を見ますとヒヨドリやツグミがわずかに実が残された柿の木の枝を飛び回っているのが見えます。春になれば庭のウメの枝にメジロやヒヨドリがやってきます。

 そうです。冬に咲く花の多くは鳥たちが花粉を運んでいるのです。木の枝に集まる鳥たちは木の実を食べるだけではなく、長いくちばしを差し込んで蜜を吸ったり、花粉を食べたりしているのです。

 他の花が少ない冬の時期に花を付ける植物の多くは、鳥たちからもすぐに見えるように燃えるような赤色や黄色をしていて花びらを大きく開かせています。鳥たちは臭いには敏感でないようなので強い香りを持つものは少ないようですが、花びらの中心部に筋や斑点があって、この奥に蜜がありますよと道案内をする仕組みを持っているものもあります。そのような仕組みが無いものも、たくさんの蜜を出して鳥たちが見つけやすいようにしています。

 たくさんの種類の花が咲いている春は、自分の花粉が同じ種類の他の花に運ばれる可能性は小さいのですが、他の花が少ない冬ならばかなり高い効率で花粉を運んでもらうことが出来るのです。サザンカは、競争相手の少ない時期に花をつけるという作戦で生き残りをはかってきたのでしょう。

オールド・キャンパーの独り言

早期退職してJICAの海外シニアボランテイアとしてアルゼンチン共和国 ラプラタ市の環境公園で1年すごした後、カンボジア教育青年・スポーツ省青少年総局で2年間を過ごしました。  海外生活の間に思い立って書き始めた「自然からのメッセージ」でしたが、帰国後、長野県の生坂村に引っ越して、自然の中で暮らし始めて、折に触れ読み返しているうちに「オールド・キャンパーの独り言」として書き直そうと思いたちました

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