泥の中に咲く蓮の花
いつだったか映画監督小津安二郎氏との対話の記事の中で、「平凡な家族を題材にした映画を撮り続けたのはなぜですか」と聞かれて、小津監督が「泥の中に咲く蓮の花。泥は汚く、花は美しい。しかし、泥も花も現実なのです。泥も花も肯定しなくては生きていけません。咲く花を見て、泥の存在を知ることが出来るのです。」と答えたというエピソードが載っていました。
この時話題になった「泥の中に美しく開花する蓮の花」という話は、どうやら仏教の説教に原典があるようです。薬師寺で偶然聞いたミニ説法で「“泥をくぐりて清き蓮の花”蓮の花には1点の泥もついていないが、その根っこは泥のなかにある。人はねたみや怒り(泥)を捨てるのではなく、それをエネルギーとして花を咲かせる。人をねたむのは、それに憧れ、なりたいとい気持ちを持っているからで・・・。」という話もありました。
いろいろ調べているうちに「蓮華の五徳」というのを見つけました。
『淤泥不染の徳』蓮華は、汚泥の中にあっても汚れに染まらず清い花を付ける。
『一茎一花の徳』蓮華は、一つの茎に一つの花をつける。信心に身代わりは利かない。
『花果同時の徳』蓮華は、花をつけると同時に実を中に詰めた苞が出てくる。
『一花多果の徳』蓮華は、一つの花に多くの実をつける。
『中虚外直の徳』蓮華は、茎に小さな穴(中虚)を持っているために強風にも折れない。と言うものです。
ハスは、100万年前にはすでに中国から渡来していたと言われていますが、昭和26年(1951)には、千葉県検見川遺跡の泥炭層の下から発見された2000年も昔のハスの種が、開花し、話題になったと言います。ハスの生命力の強さには、驚きます。
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