匂いマツタケ、味シメジ

 

 「匂いマツタケ、味シメジ」と言われるように、キノコのなかでも高級品の呼び声高いのが、マツタケとシメジですが、ここで言われているシメジは、ホンシメジを示しています。

 一般によく知られているシイタケ、エノキタケ、ナメコ、マイタケやエリンギ、マッシュルームなどのキノコは、枯れた植物の有機物を分解して養分を吸収する「腐生菌」と呼ばれる種類なので人工栽培できるのですが、マツタケやホンシメジは、樹木の根の表面を覆って乾燥などの様々なストレスから根を護りながら窒素やリンなどの養分を植物に提供し、自分の生育に必要な炭水化物やビタミンなどを植物からもらうというようにお互いに助け合いながら生活をしている共生菌と呼ばれるキノコなので、生きた木の根にしか生えないために長い間、人工栽培は不可能とされてきました。

 そのため、「匂いマツタケ、味シメジ」のシメジの名にあやかって、ヒラタケをシメジという名前で売ったり、ブナシメジを○○ホンシメジとして売ったりされてきました。

 シメジというのは、一般的には野生のホンシメジを指しますので、「○○シメジ」というのは、天然のホンシメジと誤解を招くということで、品質表示の適正化に関するJAS法の改正によってヒラタケはヒラタケ、ブナシメジはブナシメジと表示されるようになりました。

 しかし、消費者の間では、まだまだヒラタケやブナシメジを本物のホンシメジと思っている人も多いようです。

ところが最近になって、シメジ属の本物のホンシメジ(味シメジと呼ばれているきのこ)の人工栽培が出来るようになったと言うことです。

 ホンシメジには、菌根型と非菌根型の2つのタイプが存在することは、以前から知られていましたが、天然のホンシメジに極めて近い腐生型のシメジが見つかったのです。この腐生型のホンシメジが人工栽培されるようになったのです。

 これまで分類学上からもホンシメジとして扱われてきたものなのでホンシメジには間違いないのですが、腐生型であるために将来的には本物ではないと言う意見も出てくるかも知れません。

「匂いマツタケ、味シメジ」と言われるホンシメジの菌床栽培品は2004年から販売されるようになったと言います。

 実は、先週、スーパーでそのホンシメジと出くわしました。この年になって初めてのホンシメジとの出会いでした。「匂いマツタケ、味シメジ」と古くから言われてきた意味が、よく判りました。まさに強いうまみを持つ本当に美味しいキノコでした。ヒラタケやブナシメジとは全く違う本物の味わいでした。やっぱり本物はすごい。でも、菌根型の天然ホンシメジを本物だという人にとっては、この菌床栽培品は、偽物になってしまうのかも知れませんね。追求すればするほど本物は、遠のいていってしまうのかも・・・。

オールド・キャンパーの独り言

早期退職してJICAの海外シニアボランテイアとしてアルゼンチン共和国 ラプラタ市の環境公園で1年すごした後、カンボジア教育青年・スポーツ省青少年総局で2年間を過ごしました。  海外生活の間に思い立って書き始めた「自然からのメッセージ」でしたが、帰国後、長野県の生坂村に引っ越して、自然の中で暮らし始めて、折に触れ読み返しているうちに「オールド・キャンパーの独り言」として書き直そうと思いたちました

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