先祖帰り

 カイヅカイブキという樹木を知っていますか。学校の生け垣によく使われていますので見たことがあるかも知れませんね。このカイヅカイブキは、イブキという種類の樹木を改良して作られた園芸品種です。大阪の貝塚と言うところで作られたのでカイヅカイブキという名前が付けられたのだそうです。

 日当たりがよいところで育つ樹木で大気汚染や潮風に非常に強くて、乾燥や刈り込みにも強いために自然の円錐状の形だけでなくて円筒形や球状にしたりして生け垣や街路樹によく使われています。このカイヅカイブキは選定しないで放っておくと炎が燃え上がるように枝が巻きあがって伸びていきます。

 このカイヅカイブキの枝の中にある部分だけがトゲトゲした葉がついていることがあります。これは枝を痛めると出てくる現象で「先祖帰り」と呼ばれるものです。

 長い間の品種改良の末に棘のない丸い葉を持つようになったカイヅカイブキですが、樹皮が褐色になった元枝の部分を切られると品種改良される前のイブキの性質が出てきてトゲトゲの葉が出てくるのだそうです。そのままにしていると枝全体が杉の葉のようになってしまいます。刈り込みに強いと言われているカイヅカイブキでも「これ以上は、刈り込んで欲しくない」と思うところがあるのでしょうか。

 燃えさかる炎のように天を目指して伸びていくカイヅカイブキ本来の姿を人間が自分の都合で色々な形に刈り込んでいきますが、我慢するにも限度があるといっているのがトゲトゲの先祖帰りの姿なのかも知れませんね。

オールド・キャンパーの独り言

早期退職してJICAの海外シニアボランテイアとしてアルゼンチン共和国 ラプラタ市の環境公園で1年すごした後、カンボジア教育青年・スポーツ省青少年総局で2年間を過ごしました。  海外生活の間に思い立って書き始めた「自然からのメッセージ」でしたが、帰国後、長野県の生坂村に引っ越して、自然の中で暮らし始めて、折に触れ読み返しているうちに「オールド・キャンパーの独り言」として書き直そうと思いたちました

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