ヤマメとサクラマス

 以前、北海道を旅行したときのことです。知床から釧路湿原へ向かう途中で「標津サーモン科学館」に寄りました。そこで、新しい発見をしました。

 それは、ヤマメとサクラマスが同じ魚だと言うことです。

 帰宅後さっそく調べてみると、ヤマメもサクラマスもサケ科サケ属の魚で、一生淡水で暮らすものをヤマメ、一時期、海に下って暮らすものをサクラマスと呼ぶのだということでした。

 内陸の谷川で同じように孵化したヤマメの稚魚たちは、自分の力でエサを採り始めます。餌が十分とれて、体が大きくなったヤマメは、やがて縄張りを持ち、自分のエサ場を確保しますが、縄張り争いに負けて十分なエサにありつくことができなくなったヤマメは、餌を求めて海に下って行くのだそうです。

 海に下ったヤマメは、サクラマスとして最大体長が60cmほどの大きさに成長します。大きくなったサクラマスには、川で過ごした時にあった小判型の暗青色の斑点もありませんし、体色も銀色に変化していきます。そして1年経つと産まれた川に戻ってきて産卵し、死んでしまいます。

 一方、谷川に残ったヤマメは、成熟しても斑点は残っていますし、長生きをして数年にわたって産卵すると言うことです。

 産卵して孵化までの1年間、何も違わなかった稚魚たちが、その後の1年間でヤマメとして川で暮らすか、サクラマスとして海に下るかが決められてしまいます。

 小さくとも谷川の縄張りの中で、長生きをするヤマメ。たとえ短命であっても大きく成長して故郷に錦を飾って終わるサクラマス。いったいどっちが勝ち組なのでしょうか。

オールド・キャンパーの独り言

早期退職してJICAの海外シニアボランテイアとしてアルゼンチン共和国 ラプラタ市の環境公園で1年すごした後、カンボジア教育青年・スポーツ省青少年総局で2年間を過ごしました。  海外生活の間に思い立って書き始めた「自然からのメッセージ」でしたが、帰国後、長野県の生坂村に引っ越して、自然の中で暮らし始めて、折に触れ読み返しているうちに「オールド・キャンパーの独り言」として書き直そうと思いたちました

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