栽培されるタラノキ

 春になると山里では、山菜取りが始まります。

 山菜と聞くとまず思い出されるのがタラの芽です。タラの芽は、タラノキの新芽ですが、春の山菜の王者と言っても過言ではないと思います。

 タラノキは、日当たりの良い場所を好み、土砂崩れや造成などで新しく開けた場所に他の植物に先駆けて発芽、成長するパイオニア植物として知られていますが、20年を過ぎると次第に樹勢が衰えて、やがて枯れてしまうそうです。

 伐採跡地など開けた場所で、あまり枝分かれせずまっすぐに立ち、先端部分に長さ1m近くになる小葉を持つ大きな葉を広げているタラノキですが、1年で20cm~60cmくらい伸びて、5年で3mに達するものも珍しくはないそうです。

 何と言ってもタラノキの特徴は、全身をトゲで武装していることですが、幹の直径が15cmを越えるほど生長すると棘は表面の皮と一緒にはがれ落ちてしまいますし、3~4mの高さになると棘は次第に無くなっていくようです。

 これから見てもトゲは、若葉を大型の草食動物に食べられないようにするためだと考えられています。また、タラの芽独特の苦味は、昆虫から新芽を守る方法の一つのようです。

 こうやってサバイバル戦略を駆使しているタラノキですが、貪欲な人間からは身を守る方法はないようです。さらに人間は、効率よくタラの芽を採るためにタラノキの栽培を始めました。栽培されているタラノキは、タラノキ特有のトゲが無い変種のメダラの方が主流なのだそうです。

 栽培されるメダラは、トゲがないだけではなく、独特の苦味も無くなっているようです。身を守る役割だった「トゲ」も「苦味」も栽培される品種には無用の長物になってしまったようです。

オールド・キャンパーの独り言

早期退職してJICAの海外シニアボランテイアとしてアルゼンチン共和国 ラプラタ市の環境公園で1年すごした後、カンボジア教育青年・スポーツ省青少年総局で2年間を過ごしました。  海外生活の間に思い立って書き始めた「自然からのメッセージ」でしたが、帰国後、長野県の生坂村に引っ越して、自然の中で暮らし始めて、折に触れ読み返しているうちに「オールド・キャンパーの独り言」として書き直そうと思いたちました

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